| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-01  (Poster presentation)

バイオチャー散布が銅像山における炭素収支の経年変化に与える影響【A】【O】
The effects of biochar on inter-annual variations in carbon balance of “Dozoyama"【A】【O】

*工藤良史, 高橋虎嗣, 金子知樹, 森爽太, 小山悠太(浅野中学・高等学校)
*Yoshihumi KUDO, Toraji TAKAHASHI, Tomoki KANEKO, Souta MORI, Yuta KOYAMA(Asano high school)

 本校には、銅像山と呼ばれる山がある。銅像山には様々な生物が生息しており、貴重な森林生態系として機能している。しかし、近年地球温暖化によって様々な生態系が影響を受けているのが現状である。私たちは森林生態系を保全するために森林の炭素固定機能を改善し、地球温暖化を緩和できないかと考えた。
 本研究では、森林の炭素固定機能の改善策としてバイオチャー(木材や生物の遺骸を嫌気的条件下で加熱し炭化させたもの)を森林に散布した。そして森林生態系における炭素収支の経年比較を行い、①バイオチャーが炭素収支に与える影響の解明、②バイオチャーの炭素隔離効果の検証を目的とした。
 本研究では15m×15mの区画を2020年に2区画設置し、片方の区画にバイオチャーを10t/haになるように散布した。樹木の胸高直径を毎月測定し、樹木の成長量(ΔB)を算出した。また、各区画にリタートラップを設置し枯死脱落量(LF)を算出して、ΔBとLFの和を年間の炭素固定量とした。一方、土壌呼吸量(SR)と地温を同時に測定し、温度呼吸曲線を作成した。地温の連続測定の値よりSRを積算し、炭素放出量とした。炭素固定量と炭素放出量の差から、2020~2023年における生態系純生産量(NEP)を算出した。
 結果として、炭素固定量は両区で減少傾向が見られた。特に2023年の夏季の日照時間が著しく長く、降水量は少なかったため、光合成量が減少したと考えられる。しかし、散布区では非散布区に比べ減少量が小さかった。これはバイオチャーが土壌の保水性を向上させ、樹木の光合成活性を維持したことが考えられ、バイオチャーは炭素固定機能を改善できることが示唆された。一方、散布区のSRについては、初年度に高い値を示したが、2〜3年後には非散布区との差異は見られなかった。これにより、バイオチャーは炭素隔離効果を発揮し、地球温暖化の抑止に応用できると示唆された。


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