| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-04 (Poster presentation)
ランタナは双子葉合弁花類の植物で、20~40個ほどの小花を集合させて球状に花を咲かせるが、その小花が開花後数日経つと色変わりしていく。このランタナについてどのような仕組みで花色変化しているのか、その仕組みを明らかにすることと花色変化の意義をポリネーター側から考察することを目的として研究を行った。
ランタナは、開花後一日置いてアントシアンの積極的な合成が始まり、アントシアンとカロテノイドとのバランスでヒトの目に見える色が変化している。また、開花後日数が経つにつれて紫外線を吸収するフラボノイドの量も増加傾向にあり、ポリネーターにとって小花は花序の外側ほど暗く目立たないと考えられる。さらに花色変化が起こる原因として、受精すること、花粉を失うこともしくは蜜を失うことが考えられるが、そのどれも当てはまらない。また、蜜の量も小花によって様々で一定の傾向がなく、ポリネータ―は一度訪花したら複数の小花を吸蜜するのでランタナはすべての花に蜜を準備せず、エネルギーの節約を図っている可能性がある。チョウの行動実験でナミアゲハはYP(黄色から桃色に花色変化する品種)のみを訪れ吸蜜した。またセセリチョウも同様にYPのピンクのみ、モンシロチョウはYOR(黄色から赤色に花色変化する品種)の赤のみを吸蜜した。これらの結果から、一年中開花するランタナは特定のポリネーターを対象として集めるのではなく、花色変化を起こすことによって赤を好むチョウ、黄色を好むチョウなど様々な色覚の特徴を持つポリネータ―を集め、繁殖の機会を増やしているのではないかと考える。さらにその中でも、紫外線が見え黄色に引き付けられる種類のポリネータ―に対しては、ランタナの花色は花の中心を目立たせて引き寄せる役割があるのではないかと考える。