| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-11  (Poster presentation)

高麗川における外来エビと在来エビの分布の推移(2021年度~2023年度)【A】【O】
Changes in the distribution of exotic shrimp and native shrimp in the Koma River (FY2021-FY2023)【A】【O】

*渡邉小春, 大城あかり, 新井佐保, 鶴見彩音(川越女子高等学校)
*Koharu WATANABE, Akari OOSHIRO, Saho ARAI, Ayane TSURUMI(Kawagoe Girls High School)

 川越女子高校生物部では、2016年度から埼玉県河川におけるエビの在来種と外来種の分布を継続調査している。2021年度~2023年度の高麗川の推移について詳しく報告する。
 2021年度まで在来種が確認できていた(約30%)高麗川鹿台橋付近(日高市)は2022年度には在来種の確認ができなかった。その原因として、8月のゲリラ豪雨による激しい水流で在来エビがいなくなったと推察し、在来種がこの地域で危機的な状況であることを報告した。しかし、2023年度の調査では、在来種が復活し以前にもまして数を増やしたこと(64%)がわかった。また、この地域から5.5km上流の東吾野東橋付近では、外来種がおらず、すべて在来種となっていることを確認した。
 高麗川のエビの在来種が復活した理由として、例年にない極端な雨の降り方が原因ではないかと考察した。2023年は、6月の飯能市の降水量と日最大降水量は極めて多く、7月は降水量と日最大降水量は極めて少ないことから、降水量が多くなると、周辺の水草などと一緒にエビが下流に一気に流されてしまう可能性が極めて高く、鹿台橋付近の外来エビは6月の雨で下流に流され、その代わりに上流より在来種が流されて移動してきた。7月に極端に雨が少なくなったことで、鹿台橋付近に定着した在来エビの繁殖時期と重なったため、在来種が数を増やしたのではないかと推察する。現地の様子で5月には水の汚れを示す緑藻類などが見られたが、8月には一掃されて水質の改善がみられたことも一因であると考える。
 このように高麗川では、天候や水質の変化によって在来種と外来種の数の変動が数か月の短い時間で起きていることがわかった。降水量が年によって偏りがあり、そのたびに環境の撹乱が頻繁に起き、外来エビと在来エビの分布の推移に年変動があることがわかった。


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