| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-12 (Poster presentation)
川越女子高校生物部では、2016年度から埼玉県河川におけるエビの在来種と外来種の分布を継続調査している。昨年度の調査で、高麗川の巾着田水路において、額角の短い個体が数個体観察され、雑種の可能性があるのではないかという疑問が出てきたため、今年度は採取したエビをサンプリングしてサンガー法によるDNAの解析を行い、BLAST検索による種同定を行った。
DNA解析の結果、高麗川では東吾野と武蔵横手下流では在来種であるヌマエビを確認できた。外来種であるカワリヌマエビ属のうち、サンプリングしたすべての地点で、遺伝系統に違いがあったもののすべてシナヌマエビであることが判明した。額角が短くミナミヌマエビの特徴に近い形態の個体でもシナヌマエビであることがわかった。シナヌマエビも大きく分けて3つの系統のグループのものが、場所にかかわらずに混在していることがわかった。
在来種のヌマエビの分布は、高麗川ではある地点を境に上流に限られていること、それ以外の荒川水系の調査地点では、ヌマエビは見つからず、外来種のカワリヌマエビ属が占めていることがわかった。なぜ、カワリヌマエビ属は上流に進入できないのか、その理由を追求し、在来種を守るにはどうしたらよいかを今後考えていきたい。