| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-20 (Poster presentation)
春日部高校の近隣に位置する八幡公園、内牧公園にて昆虫トラップ「ノムラホイホイ」を仕掛け、どのような昆虫が存在するのかを調べた。トラップに入れるエサはバナナを選んだ。
クヌギ、シラカシ、マツ、ケヤキと樹種を変えてトラップを仕掛けた。
2023年7月、8月、9月、10月にそれぞれ1回ずつ仕掛け、採集できた昆虫の種類と数をまとめた。
結果、樹種ごとに比較すると、種数では多い順に、シラカシ、ケヤキ、同値でクヌギとマツとなった。個体数では多い順にシラカシ、ケヤキ、クヌギ、マツの順であり、月が進むにつれて種数と個体数ともに減少した。
7月、8月ではクヌギとシラカシにおいてトラップに入らず木の幹にいる昆虫も多く観察された。8月はトラップを仕掛けた全ての木で何も採集できなかった。樹液に集まる昆虫も調べたが、個体数に差はあまり見られなかった。
9月に仕掛けたトラップではダンゴムシ、アリ、ゲジ、コバエが数匹採集でき、10月では何も採集できなかった。9月、10月ともに木の根元にクワガタ、カブトムシ、カナブンなどの樹液に集まる昆虫の死骸が見られるとともに、トラップを仕掛けていない別の木にコクワガタが数匹集まっているのを観察した。
7月から10月にかけて昆虫が減少したのは、気温の低下や寿命が考えられる。
7月、8月とでは、樹液に集まる昆虫の数にあまり差はなかったが、8月は7月より多くの樹液が出ており、トラップよりも樹液に誘引されたと考えられる。
9月、10月にトラップを仕掛けていない木にコクワガタが数匹集まっていたことから、9月、10月になると気温の低下によって昆虫の移動範囲は狭くなり、一箇所に集まって越冬の準備を始めると考えられる。
今後の研究では樹液の量や、トラップを仕掛ける高さによる変化も調べたい。