| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-23  (Poster presentation)

昆虫の翅は羽化前にどのように折りたたまれているのか?【O】
How are insect wing folded before emergence?【O】

*楢崎晃生(浜松学芸高校)
*Akio NARAZAKI(Hamamatsu Gakugei High School)

完全変態昆虫は、孵化後に幼虫から蛹、蛹から成虫へと変態を経て成長していく。幼虫の段階では、成虫になるためのエネルギーを蓄えるために採餌し、蛹へと変態する。蛹の段階は、成虫になり生きていくために必要な器官や身体を形成する大切な時期である。完全変態昆虫のなかには、成虫時に特徴的な角や翅を持つ種があり、角や翅のような器官は蛹のなかで折りたたまれて形成され、羽化と共に折りたたみが展開することで、最終形である成虫の器官となることが知られている。本研究で使用したチャイロコメノゴミムシダマシTenebrio molitorの成虫もまた特徴的な翅をもち、展開時には身体の数倍ほどの大きさにもなる。このような特徴的な構造を持つ翅を、蛹のなかの小さな空間で折り目をつけて詰め込んでいる昆虫のメカニズムを知り、興味を持つようになった。翅は蛹期に形成される成虫器官の代表的なものである。多くの完全変態昆虫では蛹期に折りたたまれた状態で翅が形成され、羽化時に翅が展開する。チャイロコメノゴミムシダマシでは、蛹期に後翅が折りたたまれた状態で形成される際に、この折り目や折りたたみが形成され始めるのに順番があるのか、折りたたみ構造に規則性はあるのか、個体ごとに差があるのかについての研究は、ほとんどない。本研究を進め理解を深めることで、蛹のなかの小さな空間で大きな成虫の身体が形成される蛹期の変態の特徴をバイオミメティクスの分野に生かせないかと考えた。そこで、本研究では蛹期に形成される成虫の翅の折りたたみ構造を明らかにすることを目的とし、チャイロコメノゴミムシダマシの蛹を用いて構造解析を行った。幼虫から蛹に変態した日から7日間目の個体を固定し、光学顕微鏡を用いて、蛹の解剖を行った。解剖により蛹から後翅を取り出し、後翅の折りたたみ構造を電子顕微鏡(SEM)で観察した。これらの過程を通して、折りたたみ構造の規則性の有無、個体差の有無、左右差の有無を検討した。


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