| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-25  (Poster presentation)

住宅地周辺における吸血性蚊の発生条件【A】【O】
Conditions for blood-sucking mosquitoes in the vicinity of residential areas【A】【O】

*西廣千聡, 鈴木朋子(茗渓学園)
*Chisato NISHIHIRO, Tomoko SUZUKI(Meikei High School)

近年進行する地球温暖化により、マラリアやデング熱などを始めとした熱帯性の蚊が媒介する病気の北上が進行すると考えられる。それらの被害を減らすためには、蚊の発生源を人間の住む地域から遠ざけ、住宅地でできるだけ蚊が発生しない環境を作ることが理想的であると考える。そのためにも、蚊が発生する可能性が高い水域の条件を具体的に特定する必要があると感じたため、この研究を行った。野外調査の項目は、水域面積、3L採取した水内のボウフラの個体数、pH、COD、リン酸、NO³⁻、CONDである。その後、採取したボウフラから無作為に一匹を抽出し、PCR法及び電気泳動を使用し、種を同定した。また、野外調査で判明した蚊が産卵する条件を満たすような水域を人工的に作成し、そこにボウフラが発生するか実験した。調査の結果、水面積雨水桝クラス、CODが10ppm以上、窒素酸化物が11ppm以上の水域でのみボウフラが確認された。また、同定実験により、ヒトスジシマカ、イエカ属が確認された。これら二種ともに生息する水域も確認できた。水域作成実験に関しては、ボウフラの発生は確認できなかった。調査結果より、水面積は蚊の産卵場所の選択に影響を与えていて、親の蚊は狭い水域を選択し、産卵していると考えられる。また、有機物濃度が高い水域を選択している可能性がある。また、一つの水域からヒトスジシマカ、イエカ属双方とも発見されたため、どちらとも産卵環境の嗜好の差は少ないと考える。これらの水域は、ボウフラを捕食する生物が少なく、餌となる有機物が多いため、ボウフラの生育に適した環境であると言えるだろう。しかし、水域作成実験では、産卵が確認されなかったため、有機物濃度、水面積以外にも蚊を誘引する要素が自然界の水域にはあるとも考える。


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