| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-28  (Poster presentation)

近隣自然環境と学校敷地のはざまで生息する野鳥の生態調査【A】【O】
a【A】【O】

*大塚莉心(二松学舎大学附属柏高)
*Rico OTSUKA(Nishogakusha Kashiwa)

千葉県柏市にある手賀沼は年間100種以上の野鳥が飛来する貴重な場所である。私の通う二松学舎柏高校はその水辺から約300mに位置し、校舎は約3万㎡の樹木や竹林に囲まれている。校舎、校庭などの様々な人工物があり、大勢の生徒が暮らす学校は、本来、野鳥が暮らす環境とは異なるが、手賀沼の貴重な環境におかれた本校ではどうだろうか。私は、本校での野鳥の生活や繁殖状況を把握するために、また、本校の環境や学校施設が野鳥に与える影響を考えるために、調査を行った。1つ目として、本校敷地内で野鳥を観察し、場所と観察数を記録した。繁殖期には、観察した種の45%において、校舎屋上やアンテナでの求愛、繁殖行動がみられた。越冬期は繁殖期と比べ、校舎、校庭など生徒の主な活動範囲内で観察数が減少した。2つ目として、巣箱調査を実施した。設置した巣箱10ケ所中1ケ所でシジュウカラが営巣した。その後放棄された巣を調べ、学校環境での営巣が他の環境と異なるかを検証した。その結果、巣材は本校で集め易い化学繊維や人毛に一部代替されていた。2つの調査から、本校に飛来する野鳥は本校の環境を、特に繁殖において利用することが分かった。また、季節による観察数の差と本校の植生との関係も示唆された。この結果は、生徒数や学校規模に応じて変化する可能性があり、本校の立地の貴重さや学校施設が野鳥へ与える影響について考える為の基礎データである。今後も継続的に調査していきたい。


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