| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-34  (Poster presentation)

水中DNA量の減少と時間及び温度の関係【A】
Relationship between the decrease in the amount of DNA in water and time, temperature【A】

*松原慶治, 柴葉月, 中山絢乃, 村山昴輝(石川県立七尾高等学校)
*Keiji MATSUBARA, Hazuki SHIBA, Ayano NAKAYAMA, Koki MURAYAMA(Nanao High School)

環境DNAとは川や土壌・空気中などの外部環境中に単独で存在するDNAのことであり、特に河川や海などで採取した水中の環境DNAは、生物種の特定などに利用されている。これまで、水中に存在するDNA量から生息する生物の個体数推定ができないか様々な方法が試されてきたが、DNAは環境水中のバクテリアによって分解され、バクテリアは水温によりDNAの分解活性が変わるとの報告があり、未だ開発途上である。本研究では水温のDNA分解に与える影響がどの程度かを検証するために、ドジョウ飼育水を用いて四季を想定した各水温におけるDNA量の経時的変化を計測した。
ドジョウ10匹を室温28℃で2日間飼育した水を3つの容器に8Lずつ分注し、それぞれを、4℃、15℃、28℃の環境下で保管した。そして、3つの容器の水を、採水後すぐ、1時間、3時間、5時間、8時間、24時間、48時間後に吸引ろ過した。その後DNAを抽出しリアルタイムPCRでDNAの定量を行った。どの温度でも、DNAは2日後までに減少し、最終的な4℃の水中のDNAは、15℃と28℃の水中のDNAよりも多く残存していた。
これらの結果からDNA量は時間経過とともに減少し、温度が低い方がDNAの分解を抑えられると考えられる。これより、同日・同河川では地点による水温差が小さいため、時間経過のみを反映した推定を行えば良く、一方で調査日・調査河川が異なる場合は温度によるDNA分解速度の変化を反映した推定も必要になると考えられる。加えてDNAが2日後までに分解されたことから、河川の流速・地形などの条件が揃えば、DNAが分解されるまでの時間から、DNAを放出した種の存在範囲を推定できると考察した。
より正確なDNA量の変化を検証するために、濃度がわかっているDNAを用いた実験を現在行っており、それについても報告する予定である。


日本生態学会