| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-41  (Poster presentation)

カダヤシ捕獲装置の開発を目指して
Aiming to develop the development of a caddisfly trapping device.

*河合陽祐, 小林将大(浜松学芸高校)
*Yousuke KAWAI, Syouta KOBAYASI(Hamamatsu Gakugei High School)

日本国内において、北米原産の外来生物であるカダヤシGambusia affinsのメダカ類との競合や仔魚・稚魚の捕食による影響が危惧されている。この影響によりミナミメダカの個体数は急減し、絶滅危惧種Ⅱ類に指定された。カダヤシはミナミメダカより繁殖力が強く、個体数増加が著しい。また、体内受精であり産卵場所を必要としないため、駆除方法が限られている。在来種であるミナミメダカの保護および生息地保全の観点から、効率的なカダヤシ捕獲法の確立が求められている。本研究では、カダヤシの効率のよい捕獲装置の開発を目指し、カダヤシの嗅覚・視覚といった刺激に対する反応に着目することで、カダヤシに対して誘引効果のある刺激の解明を目的とする。嗅覚刺激では五基本味に着目し、自作したY字水槽を用いて各味覚成分に対するカダヤシの反応性について点数化して評価した。結果より、酸味であるクエン酸では、実験終了後24時間以内に実験に用いたすべてのカダヤシが死亡した。これは、カダヤシが酸味刺激に対して動きを静止してその場に留まるという強い忌避反応がみられたことから、カダヤシがクエン酸による急激なpH低下に対して脆弱である可能性が示された。一方で、酸味以外の味覚成分に対して、カダヤシはいずれの味覚に対しても反応性が低かった。これより、カダヤシは嗅覚以外の感覚により餌を探知しており、五基本味に対する嗅覚による誘引効果は期待できない。次に、視覚刺激では、カダヤシの光走性の解明を目指した。カダヤシに対して赤色・緑色・青色のいずれかのLEDライトの光を一定時間ごとに左右交互に点灯したり、左右ランダムに光を点灯したりする自動光刺激装置を自作した。その後、カダヤシに対してLEDライトの光を照射し、水槽を点灯した側、中央部分、点灯していない側の3つに区画分けして、点数化して評価をした。


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