| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-51  (Poster presentation)

熊本市東区の東稜高校における12年間の落鳥の発生状況【A】
12 years of bird-window collisions at Toryo High School in Kumamoto City【A】

*大里侑, 矢立唯真, 右田秀翔, 西坂彩菜(熊本県立東稜高等学校)
*Yuu OOSATO, Yuma YATATE, Shuto MIGITA, Ayana NISHIZAKA(Toryo Higih School)

 本校教室棟の廊下の外側には外壁や窓がなく、開放的な校舎となっており、毎年多くの野鳥が窓ガラスに衝突している。2015年、本校生物部が2011年4月〜2015年10月の113個体の記録を報告した。それから8年経過し、さらにデータが蓄積された。そこで、データを追加し落鳥しやすい鳥や場所がわかれば、被害を減らすことができるのではないかと考えた。
 調査場所は熊本市東区東稜高校敷地内とした。落鳥が発見されると回収に行き、写真での記録や聞き取り調査をした。生存個体は放鳥し、死亡個体は冷凍保存した。生息する野鳥の調査として、ラインセンサスと校内3カ所での自動撮影カメラの記録を使用した。
 落鳥は47種355個体だった。落鳥数が多い種はシロハラ、キジバト、キビタキ、スズメだった。熊本県の絶滅危惧ⅠA類のメボソムシクイ、ⅠB類のアカショウビン、クロツグミなども確認された。月ごとでは留鳥のキジバトがほぼ一年中落鳥しており、スズメは5月~7月に幼鳥や若鳥が多かった。夏鳥のキビタキは、南へ渡る9月10月が多く、冬鳥のシロハラは、11月が最も多かった。樹木や地面に近い教室や渡り廊下に落鳥が多かった。
 2023年9月に落鳥の多かった渡り廊下の窓に衝突防止ステッカーを貼り、落鳥の増減を調査した。約1ヶ月後、ステッカーの真上のガラスにハトの衝突跡が確認された。また、秋の短期間に同じ教室で複数の小鳥の衝突跡が見つかった。今度の秋にはその教室で対策を行い、効果があるか検証していきたい。
 落鳥させないことが一番だが、観察だけではわからない生息状況のデータとして落鳥の記録が役立つと考える。熊本県の野鳥の生息状況のデータとして記録を続けていきたい。なお、対象の野鳥には高病原性鳥インフルエンザの検査優占種は過去にフクロウが確認されているだけで、それ以外の野鳥でも一度に多量の落鳥はなかった。


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