| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-56  (Poster presentation)

熊本におけるヌマエビ類に共生するエビヤドリツノムシ2種の生息状況【A】
Inhabitation status of two species of symbiotes on Atyid Shrimps in Kumamoto【A】

*右田秀翔, 西坂彩菜, 矢立唯真, 大里侑(熊本県立東稜高等学校)
*Shuto MIGITA, Ayana NISHIZAKA, Yuma YATATE, Yuu OSATO(Toryo Higih School)

 近年、カワリヌマエビ属の外来エビが日本各地で確認され、それに伴い共生生物の報告があっている。そこで、外来のカワリヌマエビ属が多い地点で共生生物のエビヤドリツノムシ(扁形動物門:切頭目)が多く生息しているのではないかと考えた。複数の形態的特徴を調べ、外来エビの特徴があるエビにエビヤドリツノムシの共生が多いか調べることにした。調査開始後、エビヤドリツノムシが2種いるという文献を見つけたため、エビヤドリツノムシの2種の生息状況についても調べることにした。
 熊本県内の河川など合計38地点で水草の間や岩陰などを網ですくって採集し、エビは生きた状態で持ち帰った。動きを抑えるため氷漬けにし、光学顕微鏡で観察した。エビの同定を行い、エビヤドリツノムシの有無を確認した。エビヤドリツノムシの2種Scutariella japonicaとMonodiscus sp.は触手の形状、目の有無、吸盤の形状等の外部形態で判断した。前者をS、後者をMとして記録した。
 共生が確認されたエビ1匹あたりのエビヤドリツノムシの平均個体数は、Sが1.2±0.12匹、Mが3.5±0.35匹だった。最多個体数はMが27個体、Sが4個体だった。エビが密集している地点で共生率が高く、エビが少ない地点で共生なしが多かった。
 外来か在来か判断するため、カワリヌマエビ属の雄は1個体ずつ分けてエタノールで固定し、双眼実体顕微鏡とデジタル撮影装置を使用して、額角長などを測定した。2022年に報告のあった外部形態で外来か在来か判断した。外来と判断したエビは200個体中34個体で、エビヤドリツノムシは外来エビに多かった。在来エビが多かった地点では共生なしの地点もあった。外来エビに多かったことから外来エビ由来のエビヤドリツノムシが侵入している可能性があると考える。
 エビヤドリツノムシの2種は熊本県内の多くの地点で確認されたため、どちらも熊本に定着していると考えられる。しかし、元々いたかは、まだわかっていない。今後も調査を続けていきたい。


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