| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-58  (Poster presentation)

都市公園における鳥類相と環境利用【A】
Research of Bird Fauna and Environmental Use in Urban Park【A】

*鞠子禅, 佐藤暖哲(東京都立科学技術高校)
*Zen MARIKO, Haruaki SATO(Tokyo H. S. of Sci. and Tech.)

 東京都江東区の猿江恩賜公園(以下、公園)では、2018年から2019年にかけて行われた江東区緑視率等調査の報告書(以下、報告書)にて、18科24種の鳥類が確認されたという記録がある。しかし、この調査は計3回しか行われておらず、調査時期も冬期に限られている。また、本公園は住宅街に囲まれているため、他の緑地と孤立した環境にあり、さらに公園内に点在している池と隣接する川の存在から、もっと多くの鳥類が飛来しているのではないかと考えた。そこで、公園内の鳥類の種数・個体数及び環境利用に関する調査を行った。
 公園内で確認した鳥類の種名と個体数の記録を行い、また、カメラを用いて写真や動画を撮影し、鳥類の行動の記録も行った。この調査の結果、23科44種の鳥類を確認することができ、報告書の記録を大きく上回るものとなった。また、確認された鳥類のうち14種が東京都レッドリスト(区部)に記載されている絶滅危惧種であった。
 調査結果から、種数については季節によって変化が見られ、鳥類の渡りの時期に減少し、冬期には増加した。また、公園北部と南部で比較すると、北部は36種、南部は41種となり、南部の方が北部よりも多いことが明らかになった。この差については、鳥類の餌となる生物の分布が公園北部と南部で異なることが影響しているのではないかと考えた。個体数においても季節変化が見られ、留鳥にも関わらず冬期に個体数が増加する種がいることが判明した。これについては、公園外で繁殖を終えた個体が越冬するために飛来していたと考えられる。また、環境利用に関しては、どの種においても採食、休息、繁殖、越冬、渡りの中継地のいずれかを目的に利用しており、種によって利用している環境が異なっていた。


日本生態学会