| 要旨トップ | 受賞講演 一覧 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


第1回 日本生態学会自然史研究振興賞/The 1st Natural History Award

温帯林から熱帯林までの植物多様性の評価
Assessment of plant diversity from Temperate to Tropical Forests

遠山 弘法(桜美林大学リベラルアーツ学群)
Hironori Toyama(J. F. Oberlin University, College of Arts and Sciences)

「どのような生物が、どこに、どれくらい存在するのか?」という生物多様性情報は、生態系や生物多様性の状況を把握し、その保全、保護対策を検討するための基盤データとなる。2010年に生物多様性条約の目的を達成するために掲げられた愛知目標をきっかけに、生物の観察・標本データが世界的な生物多様性データベースであるGBIFに着実に蓄積されてきている。しかしながら、登録されているデータ地点や分類群には偏りがあり、生物多様性情報の共有は、まだまだ不十分な状況である。本講演では、東南アジア熱帯林、南西諸島、全国に設置された特定植物群落における定量的植生調査を通じて行ってきた、74種の新種記載、231種の新産報告、4種の分類学的再検討、約4万点の標本作成、約14万レコードのオカレンスデータの獲得(一部は胸高直径と樹高も記録)について紹介したい。そして、これらの定量的調査から見えてきた東南アジア熱帯林や南西諸島の多様性パターン、既存データとの比較によって見えてきた気候変動に伴う群集構造の変化について紹介する。最後に、今後の多様性研究に必要だと思われることについて、講演者の経験を交えながら議論したい。


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