| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(口頭発表) E03-01  (Oral presentation)

次元削減による生態系特性の解析
Analysis of ecosystem properties based on dimension reduction

*長田穣(東北大学)
*Yutaka OSADA(Touhoku Univ.)

人為的な環境変化は近年の生物多様性の減少や生物間相互作用の変化を引き起こす主要因になっている。これらの生物の種数や相互作用の変化が生態系特性(例えば、群集全体の動的安定性や構造的安定性、生産性といった生態系機能)に対してどのような影響を与えているのかは近年の生態学の重要な研究課題になっている。数理モデルを用いた解析は現象を抽象化することで一般性の高い予測を与えるが、複雑な相互作用構造をもつ多種系の生物群集を数理モデルで明示的に解くことは難しく、生態系特性の挙動を解析するには何らかの近似が必要になる。本研究では、次元削減近似に注目して、多くの数理モデルに適用できる解析法を提案する。次元削減近似とは、多くの微分方程式からなら連立方程式の全体の挙動を解析可能な1つの(もしくは少数の)微分方程式で近似する手法である。本研究では、既存研究の知見に基づいて、次元削減された微分方程式が存在する場合に元々の連立微分方程式の挙動を代表することを保証しつつ、次元削減による誤差を最小化するように次元削減近似を再設計する。提案した手法の性質の良さを示すため、いくつかの数理モデルのシミュレーションによって既存の次元削減との比較を行う。


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