| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(口頭発表) E04-01 (Oral presentation)
気候変動による影響は、生物の生息・生育域の移動、減少、消滅、さらには種の絶滅などを引き起こし、生物多様性の損失や生態系サービスの低下につながる可能性がある。気候変動に対する人々の意識や行動が不十分である場合、適切な対策が講じられず、生態系の劣化が加速する恐れがある。国際比較調査グループISSPが2020年に実施した世界約40の国と地域で行った「環境」のテーマでの世論調査において、気候変動に関しての意識についての回答を集計した結果、日本は他国と比べて若年層が気候変動に対して深刻に認識していない傾向がみられた。そこで、気候変動の原因についての認識や、気候変動がもたらす世界に対する影響・日本に対する影響等の認識について、世代間で異なるのか検証するために成人男女10000名を対象にオンラインアンケート調査を2024年3月に実施し、その要因を解析した。
最若年層である20代は、他の年代層と比べて気候変動自体を否定する割合が最も高く、気候変動は悪影響と考える割合が最も低かった。一方、最高齢層である60代以上では、気候変動は人為的起源であると考える割合が最も高く、気候変動は悪影響と考える割合が他の年代層と比べて高かった。
このような環境意識に対しての世代間ギャップを生じさせた原因について、年齢と関係項目との相関を調べたところ、若年齢ほど、環境に対しての知識や、環境に対する価値感、気候科学者・報道に対しての信頼度、将来世代への配慮の志向性も低いことがわかった。