| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(口頭発表) I03-11  (Oral presentation)

葉脈ネットワーク構造の全球的解析と形態的多様性【B】
Global analyses of leaf vein network structure and morphological diversity【B】

*野下浩司(九州大学), 岩政公平(Turing株式会社)
*Koji NOSHITA(Kyushu Univ.), Kohei IWAMASA(Turing Inc.)

 植物の葉脈は水や光合成産物の輸送に関わるネットワーク状の構造である.特に,被子植物の葉脈は階層的で複雑な葉脈構造を示し,分類の際にも注目する形質と考えられている.こうした葉脈構造の評価は,比較的シンプルな計測値(長さ,直径,分岐角度,areole面積,単位面積あたりの長さなど)でおこなわれるケースが多い.しかし,本質的には輸送網(ネットワーク構造)として定量化することが望ましい.そこで本研究では,葉脈構造をネットワークとして定量化するための手法を開発し,葉脈画像データベースの解析から全球的な葉脈ネットワークの形態的な多様性と制約を明らかにすることを目指す.  提案手法は,画像の取得, U-Netによる葉脈の抽出,無向グラフへの変換,ネットワーク特徴量化,からなる.先行研究(Iwamasa and Noshita 2023)において開発した葉脈抽出パイプラインを改良し,大規模な葉脈画像データベースへの適用を可能にする.さらに,葉脈構造特徴量の主成分分析の結果,PC1とPC3,PC2とPC4,PC1とPC10の空間に特徴的な分布パタンを見出した.例えば,PC1とPC3に見出されたU字型の1次元的な分布パタンは,先行研究においても見出されており,今回のより大規模なデータセットでも成り立つユニバーサルな規則性といえる.本発表では,これらの特徴量と環境データとの関連を含め報告する.


日本生態学会