| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-031  (Poster presentation)

高木樹種における稚樹母樹差の空間パターンは日欧で異なるのか?
Do spatial patterns of juvenile-adult difference in tall tree species vary across Japan and Europe?

*小出大(国立環境研究所)
*Dai KOIDE(NIES)

現在も進行中の気候変動の下において、陸域生態系の基盤生産者である植物種の分布変化の迅速な検出とその生態学的メカニズムへのアプローチは、自然生態系における適切な気候変動適応を促す上で極めて重要である。寿命の長い高木樹種における過去の分布変遷を示す単純な指標として、稚樹と母樹の分布差が注目されている。しかし、既存の報告では国や大陸スケールでの稚樹母樹差の報告しかされておらず、稚樹母樹差の空間的パターンやその要因に対する分析が欠けており、この現象の背後にあるより詳細な生態学的メカニズム(気候変動、個体発生的なニッチシフト、種の相互作用、機能的形質など)を広い地理的スケールで明らかにすることは未だできていない。本研究では、広範な植生プロットデータをいくつかの地域グループに分割し、日本とヨーロッパにおける高木樹種の稚樹母樹差に見られる地理的・気候分布的なパターンを解析した。その結果、いくつかの機能タイプや位置(平均、先端、後端)において、稚樹母樹差のパターンが異なることが示され、複雑な分布移動パターンの違いを生み出す要因が示唆された。


日本生態学会