| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-045  (Poster presentation)

グッピーにおけるメスの配偶者選択と数の識別能力の関係
Female mate choice and numerical discrimination performance in guppies

*佐藤綾(群馬大学)
*Aya SATO(Gunma Univ.)

メスが配偶するオスを選り好む場合、メスの好みの指標となる性的形質をもつようオスは進化する。グッピーPoecilia reticurataは性淘汰研究のモデル種であり、雄のみが体側面にオレンジや黒の斑紋(カラーパターン)を持ち、メスはオスのカラーパターンをもとに配偶者を選択することが知られている。しかし、オスのカラーパターンは個体間で大きく異なり、集団中にはメスを惹きつける鮮やかな斑紋を持つオスだけでなく、メスから好まれない斑紋が目立たないオスも存在する。また、斑紋が鮮やかなオスと配偶することで子の生存や繁殖に利益があることが知られている一方で、メスの好みにも変動が見られることが分かっている。本研究では、それら多様性を適応的側面から説明するため、メスの認知能力に着目した。グッピーでは個体間で脳の大きさに差があり、脳が大きい個体は、脳が小さい個体に比べ、認知能力が高いが消化系など脳以外への投資配分が制限され、メスでは一度に産む子の数が少ないことが分かっている。このことから、メスの認知能力と配偶者選好性の間に関連があれば、認知能力の高いメスはオスのカラーパターンを見分け、より子に貢献するオスと配偶できる一方、認知能力の低いメスは雄のカラーパターンを見分けることができないため、雄に対する選好性が低く、適応的な子は期待できないが数多くの子を残す、という異なる戦略が成立しているのではないかという仮説を立てた。今回は、メスの認知能力と配偶者選好性の関連についての実験結果を発表する。


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