| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-120  (Poster presentation)

三峰川水系の異なる環境におけるカワラバッタの個体数密度とバッタ類群集の季節変化【A】
Seasonal changes in population densities and grasshopper communities in different environments in the Mibu River system【A】

*廣岡亮, 大窪久美子(信州大学)
*Ryo HIROOKA, Kumiko OKUBO(Shinshu Univ.)

カワラバッタEusphingonotus japonicusは日本固有のバッタ類で、主に砂礫河原に生息する。砂礫河原の減少に伴い本種の個体数は全国的に減少しており、長野県においても天竜川水系、およびその支流の三峰川水系の河川敷で行われた先行研究(山岸・大窪 2013、奥村・大窪 2016、山田・大窪 2017)で本種の個体数の減少が懸念される。そのため、本研究ではカワラバッタの保全策の提案を最終目的とした。2023年に行われた調査(廣岡・大窪 2024)では三峰川水系において本種が植被率の低い環境に多く出現する傾向やトノサマバッタやクルマバッタモドキと同様の環境に生息することが再確認された。また、バッタ類と植生環境との関係は流域により特徴的であることが示唆された。しかし、この調査は本種の成体期を対象としたため、幼体期における他種との同所性について評価できていなかった。また、流域によるバッタ類と植生環境との関係の違いが変化する可能性も考えられた。したがって、本研究ではより長い期間でバッタ類群集と立地環境条件の把握を行い、他種との同所性や流域ごとの特性について考察した。本水系の河川敷7地点(’A,A,B,C,D,E,F’)を調査地とし、各々にコドラート10個からなるラインが2本設置された。また、各コドラートにはサブコドラートが1箇所に設置された。コドラート内においてバッタ類群集調査が、サブコドラート内において植生調査と堆積物粒径割合調査が実施された。バッタ類群集調査の結果、全体で9科23種2329個体が出現し、カワラバッタは全調査地点で確認された。トノサマバッタとクルマバッタモドキはいずれもカワラバッタの幼虫期にも同所的に出現した。植生調査の結果、21科63種が出現した。NMDSを用いて調査地の序列化を行った結果、調査地はより上流側の地点と下流側の地点に2分して配置された。


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