| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-125  (Poster presentation)

ミクロなスケールで礫河原の植生を見直す
Micro scall studies on gravel vegetation

*倉本宣(明治大学), 伊東静一(明治大学), 片山暖那(明治大学), 政金直樹(明治大学大学院), 三島らすな(明治大学大学院), 岡田久子(明治大学)
*Noboru KURAMOTO(Meiji Univ.), Seiichi ITO(Meiji Univ.), Haruna KATAYAMA(Meiji Univ.), Naoki MASAKANE(Grad. School, Meiji Univ.), Rasna MISHIMA(Grad. School, Meiji Univ.), Hisako OKADA(Meiji Univ.)

大河川中流の礫河原の植生はこれまで植物社会学のスケールで捉えられることが多く、小さなスケールでも1m幅のベルトトランセクトによる調査が行われてきた。多摩川永田地区のカワラノギクプロジェクトが活動している礫河原において、種子散布と植物の分布を詳細なスケールで調査した。2022年12月にMVC法で測定したカワラノギク種子の散布距離は高々10m、ススキ種子の平均散布距離は17mで、最大は40mであった。2024年8月の群落調査によると、MVC法でススキの種子が捕捉されたエリアに、ススキの実生はほとんどみられなかった。このエリアにはマルバヤハズソウ、ムラサキエノコロなどの重力散布の種と動物付着散布ではあるものの動物が来なければ重力散布と同様にそのまま種子が落下するコセンダングサが優占していた。はまり石がほとんどを占める現代の礫河原では風散布の動く種子をつける植物よりも重力散布などの動かない種子を付ける植物が優占していた。1990年代には苔類と地衣類に被覆された礫河原が広く分布していて、カワラノギクの定着を阻害していたが、地衣類はみられなくなり、苔類もごくわずかになっていた。礫河原の表面の形状が礫河原の植生に及ぼす影響について検討する。


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