| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-135 (Poster presentation)
日本の淡水域に侵入した外来種の一例として、オオクチバス・アメリカザリガニ・ミシシッピアカミミガメ・カミツキガメなどがいる。これらの生物は、日本の侵略的外来種ワースト100(外来種ハンドブック:日本生態学会編)にリストアップされると共に、メディアや教科書等で外来種の存在や危険性、国内の生態系への悪影響が取り上げられたことで、一般市民に広くその存在が知られるようになった。一方で、このような認知度の高い外来種は比較的大型である脊椎動物に偏っており、その他の多くの外来種は市民には気づかれることなく静かに分布を広げている。
我々はメダカや金魚、熱帯魚の飼育水槽(家庭のアクアリウム)という、非常に身近な環境に侵入する外来種に焦点を当て、その実態を2019年より調査している。本発表では、家庭やペットショップのアクアリウムに混入するさまざまな無脊椎動物についてこれまでの結果をまとめ報告する。
調査対象は水槽内に混入する無脊椎動物であるが、貝類については既報のため今回は貝類を除く無脊椎動物について結果を取りまとめた。ペットショップのアクアリウム、家庭のアクアリウム、園芸店の水草販売コーナー、家庭の屋外の水草飼育環境などを調査対象とし、発見した生物を採集した。また、ペットショップやホームセンターで販売されている水槽レイアウト用の水草を店頭で購入し、購入時点での付着生物の有無を確認後、実験室内で個別に水草を飼育し水草由来による生物の発生状況を調べた。
その結果、調査を行った4年間で5門12綱24種類の混入生物が確認され、さまざまな分類群から外来種または外来種の可能性が高い生物が発見された。調査全体を通して最も多く発見されたのは貝形虫であった。可能な限り種同定を試みたが、発見された生物の多くは混入時の体サイズが1~数㎜と微小であり、形態による種同定およびDNA解析による種同定が困難なものが多かった。