| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-126 (Poster presentation)
群行動は魚類や鳥類から,昆虫類,哺乳類等に至るまでみられる現象であり,兼ねてより多くの研究が行われてきた.群を構成する個体は,それぞれ自分の周囲の個体と局所的に相互作用を及ぼしあって綺麗なフォーメーションの取れた群を作ると考えられている.一方,ユスリカの群である蚊柱では,群の各個体が様々な方向へと動き,群の形状を変化させながらも,群全体としては一定の範囲内にとどまるといったユニークな性質を示す.これは個々のユスリカの行動制御の結果として実現するものと予想される.本研究ではこうした整列の伴わない群を形成するユスリカの蚊柱を対象に,野外計測と時系列データ解析によってその性質を明らかにすることを目的とする.
我々はまず,18匹のユスリカで構成される比較的小規模の蚊柱を2台のカメラで同時に撮影した.次に,画像解析ソフトであるUMATrackerを活用して,撮影したデータから各個体の軌跡を2次元平面上の座標データとして取得した.最後に,DLT法により3次元空間上の座標データに変換した.本発表では,得られた3次元データをもとに,群の重心までの距離と各個体の重心方向への速度成分の関係,周辺の個体数密度と各個体の移動ベクトルの関係についての予備的な解析結果を含めて発表する.