| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-141 (Poster presentation)
近年の計測機器や動画解析の技術発展に伴い、動物の行動に関する研究が進んでいる。中でも鳥類は周辺環境に応じた飛行を行っており、離陸に関しては向かい風を受ける方向に離陸を行う種がいることがわかっている。本研究ではウミネコの離陸動作について解析を行った。ウミネコはその小柄な身体と比較して細長い翼を持っていて、抗力を減らし、揚力を得ることに長けた特徴があると考えられる。発表者らはまず、2024年3月26~29日にかけて青森県八戸市大字鮫町にあるウミネコの群生地として有名な蕪島にて、2台のカメラでウミネコの離陸動作を撮影した。次に、得られた動画データを深層学習に基づくトラッキングソフトであるDeepLabCutで解析することで、ウミネコの頭、翼の位置を取得し、DLTアルゴリズムを用いて3次元空間座標として離陸軌跡を定量化した。さらに、LiDARによる計測データを併用し、離陸時の斜面の傾斜といった地理的情報を推定した。最後に、得られた離陸軌跡から離陸場所や風向が離陸方向に与える影響を解析した。その結果、ウミネコは向かい風を受ける方向に離陸を行う傾向がある一方で、斜面に止まっていた場合の斜面の向きは離陸の方向に影響を与えないことを示した。