| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-194  (Poster presentation)

ツクツクボウシの鳴き声パターンの地域差:日本産及び韓国産個体の比較【A】【O】
Exploring the calling songs of the cicada Meimuna opalifera: A comparative study between Japanese and Korean populations【A】【O】

*児玉建(九州大学), 立田晴記(九州大学), Chang S. HAN(Kyung Hee Univ.), Yoonhyuk BAE(Seoul Nat'l Univ.)
*Takeru KODAMA(Kyushu Univ.), Haruki TATSUTA(Kyushu Univ.), Chang S. HAN(Kyung Hee Univ.), Yoonhyuk BAE(Seoul Nat'l Univ.)

ツクツクボウシ Meimuna opalifera(カメムシ目セミ科)の鳴き声は極めて複雑な上に、そのパターンに顕著な地域差が見られる。日本の大部分に生息する個体では、鳴き声の主要部が「オーシンツクツク」と聞こえる前半パート、「ツクリヨーシ」と聞こえる後半パートの2パートで構成される。一方、中国や韓国などに生息する個体では前半と後半の間に日本産には見られないパート(中間パートとする)が挿入された3パートで構成されること、また日本でも屋久島とその周辺地域に生息する個体では後半パートが欠失し前半パートのみで構成されることがわかっている。こうした鳴き声における種内変異が認められる一方で、鳴き声パターンの違いに応じ、音響特性も変化するのだろうか?
本研究では日本(福岡市)と韓国(ソウル特別市)においてそれぞれツクツクボウシの鳴き声を録音し、その音響特性を解析した。オス個体を捕獲し、屋外に設置された録音用のカゴに入れ、カゴ内で発せられたオス個体の鳴き声を録音した。鳴き声の音響特性として、鳴き声を構成するセクションやパート、パート内の繰り返し単位など最大15の音響単位に分解し、持続時間と周波数を調べた。また同じフレーズ内で反復する音声単位については、その繰り返し回数や持続時間の変化を調べた。
本講演では、測定した音響特性を個体内・個体間・個体群間で比較し、ツクツクボウシの日本産および韓国産個体における音響特性の相違点について議論する。


日本生態学会