| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-216  (Poster presentation)

相利共生ネットワークの特徴量とレジリエンス【O】
Resilience and Feature values of mutualistic networks【O】

*笠原剛樹, 長田穣, 近藤倫生(東北大学)
*Gohki KASAHARA, Yutaka OSADA, Michio KONDOH(Tohoku Univ.)

昨今、地球温暖化や人為的かく乱といった環境変化が起こっている。相利共生系のような正のフィードバックが存在するシステムでは、環境のゆるやかな変化に伴って生態系の状態が急激に変化することが報告されており、この急激な変化はレジームシフトと呼ばれている。近年では環境変化に対して生態系がレジームシフトを起こさず状態を維持する能力としてレジリエンスの研究が盛んに行われている。しかし、種数や種間相互作用強度、コネクタンスなどのネットワークの特徴量と動的安定性の関係は古くから研究されているにもかかわらず、ネットワークの特徴量とレジリエンスの関係は未だ解析的に明らかになっていない。本研究では相利共生系を対象に、ランダム群集アプローチを使用して、ネットワークの複雑性と平均的なレジリエンスの関係を解析的に記述した。具体的には、種間相互作用がランダムに決まる2集団の相利共生系を仮定し、その相利関係に摂動が加わる場合に対する構造安定性の期待値を解析的に求めた。その結果、種数が多いほどレジリエンスは高くなることが分かった。また、相利関係の強さと種内・種間競争関係の強さは相利共生系のレジリエンスに対して逆向きの効果があり、種内競争や種間競争が強いほど系の存続に強い相利関係が必要であることが分かった。さらに、相利共生系のレジリエンスを最大にする2集団の種数比率を明らかにした。


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