| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-046  (Poster presentation)

里地里山における植生区分による環境中の微生物群集の違い【O】
Differences in microbial communities across vegetation types in satoyama landscapes【O】

*木村圭一, 今藤夏子, 土屋一彬, 角谷拓(国立環境研究所)
*Keiichi KIMURA, Natsuko KONDO, Kazuaki TSUCHIYA, Taku KADOYA(NIES)

環境中の微生物群集、特に細菌叢は生態系機能のみならずヒトのアレルギー疾患にも影響を与える可能性が指摘されている。そのためヒトの身近な環境における細菌の群集構造を把握することは、生物多様性と人の健康の関係を理解するために重要である。環境中の細菌叢を調査するうえで、土壌、リターや大気からDNAを抽出する環境DNA調査がよく用いられている。この環境DNA調査を通じ、周辺に生育する植物種などによって細菌叢に差異が生じうることが指摘されている。里山環境では、管理された二次林において、人工林よりも林床植物種などの多様度が高いことが知られているが、細菌叢についても同様の傾向が見られるかは十分に明らかでない。そこで本研究では里山環境における植生区分により、土壌、リター、大気中の微生物群集に差異が生じるかを検証した。2024年8月1日から7日にかけて栃木県茂木町内の二次林、人工林で大気の一定期間のサンプリングを行うとともに、土壌やリターも収集した。大気中の浮遊微生物はローボリュームサンプラーを樹木に取り付け、フィルターを介して収集した。土壌とリターは、大気サンプラーを取り付けた樹木の周辺から収集した。また、二次林、人工林との比較対象として、人為的土地被覆で覆われた駐車場内の植え込みを対象に、同様に大気、土壌、リターのサンプリングを行った。収集したサンプルからDNAを抽出したのち、16SrRNA遺伝子のV4領域についてアンプリコンシーケンス解析を実施し、細菌の群集構造と相対存在量に関する情報を得た。本発表では、主に、二次林、人工林、駐車場植え込みの間での細菌叢の違いを比較した結果について報告する。


日本生態学会