| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-080 (Poster presentation)
本州に生息するツキノワグマUrsus thibetanusの遺伝構造を明らかにするために縮約ゲノム法(ddRADseq)による遺伝解析を行った。サンプルは、北上山地、奥羽山脈(岩手県)、南アルプス(静岡県)、北陸(福井県、石川県)、北近畿(京都府)、紀伊半島(三重県)、西中国(島根県)で捕獲された個体の筋肉を用いた。STRUCTURE解析によると、K=6の場合、地域的な構造化が確認され、北陸集団は南アルプス、北近畿、紀伊半島の遺伝子を含んでいた。K=7の場合は北陸集団が独立した集団として識別されたが、近隣三集団の遺伝子も含まれており、遺伝子流入が示唆された。個体内のヘテロ接合度は、南アルプスで最も高く、西および東の分布の端に近づくにつれてヘテロ接合度は減少していた。過去の有効集団サイズの変化では、日本への渡来時期、最終氷期最寒期前、最終氷期後の3回の個体数減少が示唆された。