| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-096 (Poster presentation)
南極海を含む高緯度海域は、大気CO₂濃度の上昇に伴う地球規模の炭素循環の変化や気候変動の進行を敏感に反映する地域である。近年、温暖化の進行にともなう海氷分布や大気・海洋間の相互作用が変化し、海洋成層化や酸性化の進行により、栄養塩の循環や植物プランクトンの生産性に大きな影響が及ぼされると指摘されている。
本研究は、大気中CO₂濃度や海洋成層化、酸性化、栄養塩分布など、複数の環境要因が植物プランクトン現存量に与える影響関係を総合的に評価することを目的とする。
ベイジアンネットワークによる因果推論及び Piecewise SEM(Structural Equation Modeling)を組み合わせることにより、変数間の影響関係を評価するモデルを構築し、各因子間の直接・間接影響を定量的に解析した。先行研究では個々の要因への着目や沿岸地域など限定的な空間スケールでの研究が多かったが、本研究は南極海を含む広域で多数のパラメータを統合した。
本発表では、各要因同士の因果的関係の推定プロセスを報告するとともに、その各因子間の影響度合いの比較から得られる考察を紹介する。