| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-112  (Poster presentation)

建設汚泥再生品の植栽土としての可能性【O】
Potential of Recycled Construction Sludge as Planting Soil【O】

*築地孝典(藤クリーン(株), 岡山理科大学附属中高)
*Takanori TSUKIJI(Fuji Clean Co.,Ltd., OUS J.H.S & H.S.)

 藤クリーン(株)では、杭抜き工事等で発生する建設汚泥を産業廃棄物として中間処理している。建設汚泥は固化材(生石灰)を用い改良し、建設汚泥再生品(以下、再生処理土とする)として販売している。再生処理土は主に盛土材、埋戻し材のような建設資材に利用されるが、建設リサイクル推進計画2020(国土交通省2020)において盛土材として建設発生土と競合しており、建設発生土が工事間で無償利用されている中で、再生処理土を購入して利用することは難しいと指摘されている。対策の一つとして、弊社ではビオトープの植栽土の原料として活用しているが、植物にどのような影響を及ぼしているか明らかにした研究はなく、今回、栽培試験を実施し影響を明らかにすることとした。
 栽培試験は2024年10月17日から11月7日までの21日間、供試土壌に製品置き場から採取した再生処理土と資材置き場から採取した真砂土を用い、供試作物としてコマツナ (Brassica rapa L. var. perviridis) を5ポットに各20個播種し実施した。再生処理土と真砂土の混合割合を体積比で20%ずつ変化させた6条件で発芽率 (%) ・葉長(cm)・茎長(cm)・地上部生体重(g)を記録し、栽培前後の土壌のpH、EC(μS/㎝)、アンモニア態窒素濃度(mg/L)、リン酸態リン濃度(mg/L)およびアルミニウム濃度(mg/L)を測定した。
 その結果、7日後の平均の発芽率は再生処理土のみ(15.0%)と真砂土のみ(10.0%)が低かった。再生処理土の混合割合と葉長(r=0.71)と地上部生体重/個体(r=-0.87)に負の相関が見られた。地上部生体重/個体について真砂土のみ(0.135g)と再生処理土を20%混合した条件(0.139g)は変化が少なかった。再生処理土に7.5mg/LのAl³⁺の含有が確認され真砂土(0.05mg/L未満)の150倍以上あり、植物の生育を阻害する可能性があると考えられる。再生処理土を20%混合した条件では、他の条件と比較し発芽率が高く・地上部生体重/個体が大きく、再生処理土を他の植栽土に混合すれば活用できるのではないかと考えられる。


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