| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-127 (Poster presentation)
日本の里山景観は、古くから農地、二次林、草地がモザイク状に形成され、多様な野生生物を支えてきた。しかし近年、農村部の高齢化や過疎化が進み、伝統的な景観管理が困難になってきており、里山の消失や環境の均質化による生物多様性への影響が懸念されている。本研究では、イヌワシ(Aquila chrysaetos)を中心に、里山景観構造が生態系に重要な機能を果たす動物種の分布に与える影響を明らかにすることを目的とする。イヌワシは日本最大級の捕食鳥であり、歴史的に里山景観を狩猟場として利用してきた。そこで、気候、地形、植生、人間活動などの環境変数を用いてA. chrysaetosの種分布モデルを構築した。この種は世界的に分布しているが、日本に関するデータは少ないため、世界中の種の出現データを用いてモデルを訓練し、日本における潜在的な分布予測を行った。その結果、里山がイヌワシの分布に大きな影響を与えていることが示された。