| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-132 (Poster presentation)
ブナ科樹木が集団的に枯死するナラ枯れは、甲虫の1種であるカシノナガキクイムシ(以下、「カシナガ」)によって媒介される。森林のみならず都市部でも被害が発生し、人やインフラへの二次被害が大きな社会問題となっている。現在、ナラ枯れを抑制するために多くの防除法が開発されているが、現時点では決定的な防除技術は確立されていない。防除法の1つにヒノキを忌避剤として用いる方法がある。これはヒノキのチップをブナ科樹木の樹幹表面に設置することによって、カシナガの寄主樹木への飛来を低減する手法である。しかし、都市部においてヒノキチップを入手することは容易ではないことから、庭木や垣根、街路樹に使われている樹種で代替することを模索するために、本研究では、ヒノキ科のレイランドヒノキとブルーヘブンのウッドチップの忌避効果を、ヒノキと比較した。国際基督教大学構内のコナラ成木12個体に対し、各ヒノキ科樹木のウッドチップ3種類、無処理の対照区の計4処理を3個体に対し、3反復行った。補虫テープをウッドチップ上下の樹冠表面に設置し、カシナガ飛来数を調査した。その結果、対照区と比較した捕獲数は、レイランドヒノキ54.5%、ブルーヘブン45.5%、ヒノキは115.5%であった。以上より、レイランドヒノキ及びブルーヘブンは、ヒノキよりもカシナガの忌避効果が高い可能性が示唆された。