| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-139  (Poster presentation)

The public views bounties are not the best support measure for wildlife management enhancement.【O】

*Kota MAMENO(Hokkaido Univ.), Takaaki SUZUKI(Gifu Univ.), Tomohiko ENDO(NIES), Takahiro KUBO(NIES, University of Oxford)

本研究の目的は、野生動物管理の推進を目的とした支援策に対する一般市民の選好を明らかにすることである。人間社会と野生動物との軋轢は、人間社会の厚生や生物多様性の保全にとって重大な課題である。そのため、軋轢の緩和を目的として野生動物管理が世界中で実施されている。その中で、効果的な野生動物管理の推進を目的として、報奨金制度をはじめとする様々な支援策が導入されている。支援策の多くが税金を財源としている事から、一般市民の支援策に対する選好は持続的な野生動物管理にとって重要である。しかしながら、どのような支援策が一般市民から望まれているか、これまでほとんどわかっていない。
本研究では、マーケティング分野で開発され、近年保全科学分野でも適用されはじめているベスト・ワースト・スケーリング法(BWS)を用いたアンケート調査を実施した。本調査では、6つの支援策と「支援しない」を合わせた7項目を比較した。6つの支援策は以下の通りである:「捕獲講習会の実施」、「罠などの捕獲道具の貸出」、「捕獲作業に対して金銭の授与」、「捕獲した個体に基づいて金銭の授与」、「捕獲個体の処理支援」、「被害防止作業に対する金銭の授与」。調査対象者は沖縄と北海道を除いた全国の市民で、調査は2024年8月22日から27日に調査会社を通じてオンラインにて実施された。合計1,061部の有効回答が得られた(回収率2.84%)。
分析の結果、フェンスの設置など被害防止作業に対する金銭の授与が市民から最も支持されており、支援を行わないことが最も支持されていないことがわかった。また、現在多くの自治体等で実施されている捕獲作業に対する奨励金制度に対する評価は、7項目中4番目に高い評価であることがわかった。一方で、捕獲数に応じた報奨金制度に対する評価は、2番目に高い評価であった。


日本生態学会