| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-157 (Poster presentation)
外来種は交雑により侵襲性を獲得することがある.日本に移入したセイヨウタンポポは在来タンポポと交雑し,形成された雑種はセイヨウタンポポ以上に増えており,交雑が日本での定着に寄与したと考えられている.セイヨウタンポポのニッチは在来種と異なることがわかっているが,在来種の遺伝子を獲得している雑種のニッチが変化したかは良くわかっていない.タンポポ調査西日本で得られた在来種カンサイタンポポ,セイヨウタンポポ,雑種の在地点データを用いて,各種がどのような気候・土地利用環境に分布しているか比較し,交雑によりニッチが変化したかを調べた.その結果,カンサイタンポポのニッチは瀬戸内周辺の低地の人里環境に限定されている一方で,セイヨウタンポポは山地や日本海側などより寒冷な環境も含めた広いニッチを持っていること,雑種のニッチは変化していたがその変化の仕方は倍数性によって異なり,三倍体のニッチはカンサイタンポポと同様に人里環境に限定されていること,四倍体のニッチはセイヨウタンポポ以上に北部にまで広がっていること,が明らかになった.三倍体雑種は交雑により在来種から適応的な遺伝子を獲得することで,セイヨウタンポポ以上に在来環境に適応するようになった一方で,四倍体雑種は遺伝子の獲得ではなく,倍数性の増加により寒冷な環境へ適応するようになったと考えられる.
Hybrid dandelions between invasive and native dandelions are spreading in Japan. However, it is not well understood whether hybridization affects the niche of invasive dandelions. We compared the climatic and land-use niches of native, invasive, and hybrid dandelions in western Japan. The niche shift of hybrids depended on the ploidy level, with the triploid hybrids niche approaching the native dandelion niche and the tetraploid hybrids tending to be more dispersed in the northern part.