| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-180 (Poster presentation)
環境保全型農業を行う上で表土流亡は大きな問題であり、多くの抑制手法が開発されている。その中でも代表的な被覆作物の導入は、主作物との水や養分などの競合が課題となっている。本研究は、持続的なウンシュウミカン (Citrus unshu Marc.) 果実生産を目的に奨励されるナギナタガヤ (Vulpia myuros (L.) C. C. Gmel.) による草生栽培が、未熟果の果皮に含まれる生薬成分リモネンとヘスペリジンの含有量に与える影響の解明を目的としている。静岡県浜松市浜名区三ケ日町の農家協力の下、柑橘園内にナギナタガヤ被覆率100%、50%、0%の3処理区を設け、各区で無作為に3本 (計9本) のウンシュウミカン成木を選んだ。2023~2024年の2回の果実生育期間中、摘果時期の7~9月に各月1回、農家が各木3個の未熟果を無作為に採取した。これらを凍結乾燥し、果皮からリモネンとヘスペリジンを日本薬局方の規定に従い抽出して、HPLCを用いた定量分析を行った。その結果、ナギナタガヤ被覆率は両成分の果皮含有量に有意な影響を与えなかったため、同種による草生栽培は、生薬原料としてのウンシュウミカン未熟果の生産においても、有効な環境保全型農業であることが示唆された。