| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-188 (Poster presentation)
博物館施設は家庭による科学教育の場として重要である。水生生物を観察できる水族館には子供連れの家族が多く訪れ、観察や会話を通した学びが可能であるが、実際にどのような学びが起こっているのかは把握しにくい。発表者の一連の研究において、水族館来館者の会話を録音し、その会話の分析を通し、学びの内容や学びを引き起こす会話を明らかにすることを目的としてきた。これまでの研究で、①「形や動きの説明」や「子の発言に対する親の同意」の多さに対する「仮説や推定」の少なさ、②種名に関連した会話の多さ、③会話内容で家族をタイプ分けすることの困難さ、を明らかにした。
今回は滞在時間の長さに注目し、滞在時間の家族間差がどのように生じるのか、滞在時間の長い家族はどんな特徴を持ちどんな会話をしているのかを明らかにすることを目的とした。滞在時間に関しては、昨年度の研究により「時間の増加で会話は増えるが、種名、観察描写、館外の話題、仮説や予想、と言った会話内容が増加するような傾向はない」ことが示唆されている。新たに行った分析により、滞在時間が短い家族は、①1つの話題に関する掛け合い回数が少ない、②会話記録から観察対象をイメージすることが難しい(指示語、感嘆詞で終始する)、ことが示唆された。これらの結果から、効果的な学習を促す対話型AI(ボイスボット、AIコンシェルジュ)の可能性を検討する。