| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-193  (Poster presentation)

札幌市北区あいの里地区におけるトンボ相の考察【O】
A study of dragonfly fauna in the Ainosato area of ​​Kita-ku, Sapporo【O】

*攝津柚太, 内田葉子, 綿路昌史(イトトンボを守る会)
*Yuta SETTSU, Yoko UCHIDA, Masashi WATAJI(Society of Defend TOTOMBO)

 北海道札幌市北区あいの里地区にあるトンネウス沼は、あいの里地区の雨水調節池で、当会が長年、手作業で沼内部の増えすぎた草本の除去作業(以下、浚渫作業)を行っている。この沼には、数多くの生物種が生息しており、特にトンボについては、1990年代からの生息調査の記録が残っている。そこで、本研究では、その膨大な調査データを集計し、    
 地球温暖化との関係性や浚渫作業の効果を検証することとした。
その結果、移動性が高く、比較的個体数の多いトンボ科のトンボの中でナツアカネでは、年平均気温が上昇すると個体数が増加する傾向があることが分かった。逆に、ノシメトンボでは、年平均気温が上昇すると個体数が減少する傾向があることが分かった。よって、トンネウス沼の移動性の高いトンボは、地球温暖化の影響を受け、種数構成が変化している可能性が示唆された。
 多様度指数については、浚渫作業を開始する以前に最低値を記録し、その後、最低値を記録していないことが分かった。以上のことから、トンネウス沼の浚渫作業は、トンネウス沼の生物多様性を維持するのに一定の効果と考えられる。


日本生態学会