| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-205 (Poster presentation)
気候変動により災害が激甚化するだけでなく社会情勢も大きく変化する中で、自然が有する多様な機能を活用したグリーンインフラが注目されている。内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のサブ課題「e-1魅力的な国土・都市・地域づくりを評価するグリーンインフラに関する省庁連携基盤」では、官民連携による「グリーンインフラを最大限生かした地域づくり」を目指し、グリーンインフラ機能(ポテンシャルとニーズを含む)の評価手法の開発を行っている。また、グリーンインフラ機能によるウェルビーイングへの寄与を評価する手法も開発中である。本研究では、千葉県印旛沼流域(佐倉市)を対象地域とし、グリーンインフラ機能として里山景観の形成に注目し、その評価と地図化を実施した。佐倉市での重要な里山景観を定義するために、佐倉市が実施する景観写真募集に応募された写真を用いて、里山景観を類型化した。景観写真募集では、地域の特色や魅力ある景観を伝え市民の景観に対する意識を高めるために、「日ごろ魅力を感じ、伝えていきたいと思う佐倉の景観」を佐倉市が募集している。その結果、水域(印旛沼を含む)や水田、公園が里山景観として重要な要素であることが明らかになった。グリーンインフラ機能として、これらの里山景観を身近な自然として認識できる状態が重要となる。そこで、本研究では身近な自然を徒歩30分圏内に存在する自然と定義し、その範囲に含まれる里山景観の重要な要素を評価した。今後は、本手法とウェルビーイング評価の結果を組み合わせることで、里山景観の形成に関するグリーンインフラ機能を総合的に評価する予定である。また、同様の解析を他地域でも行えるよう、標準的な評価手法の提案を目指す。