| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-097 (Poster presentation)
遭遇頻度は、ある属性をもつ集合に属する個体(例:同種のメス)を対象とするものと、ある特定の個体(例:母親)を対象とするものに大別される。どちらも動物の社会関係や行動パターンを決定づける要因となりうるが、前者と後者の違いは調査・実験結果に対する異なる解釈を導く。無脊椎動物の研究では、従来、前者の遭遇頻度を暗に想定したものがほとんどだった。しかし近年では個体識別を強く示唆する研究例も増えており、そのような種では個体が後者の遭遇頻度に応じて行動を決定している可能性がある。
本研究では、テナガホンヤドカリとヨモギホンヤドカリのオスが、メスに対して、後者の遭遇頻度を交尾前ガード行動開始タイミングの決定に利用しているという仮説を検証した。雌雄を1個体ずつ入れた水槽を2個1組で飼育し、1日に 10分間だけ同組の水槽間でメスを入れ替えて、ガード行動の有無を記録した。そして普段から一緒にいるメス(高遭遇頻度条件)と毎日10 分だけ会えるメス(低遭遇頻度条件)に対するガード開始タイミングを比較した。
発表では実験結果と考察を述べる。