| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-153 (Poster presentation)
センサーカメラやタイムラプスカメラ等による自動撮影は生態学研究で広く活用されている。とりわけ、多地点モニタリングなどの大規模研究や、直接観察が困難な場所での観察で効果を発揮し、従来の観察法では得られないデータセットを提供している。中でもRaspberry Piなどの小型コンピュータを用いた撮影装置は近年注目を集めており、哺乳類、鳥類、魚類、昆虫など、様々な生物を対象にした撮影装置が相次いで考案されてきた。一方で、従来の自動撮影装置の多くは視野角が広く、遠く離れた対象を観察することは難しい。このことは、対象生物の近傍にカメラを設置することが難しい場合や、近傍に設置したカメラの存在が対象生物の行動に影響を与える場合などで、自動撮影の活用を妨げる要因となっている。発表者は樹上や岩上などの高所に開花する着生植物の訪花昆虫の観察を目的として、離れた被写体に特化した自動撮影装置の開発を行った。望遠鏡の接眼レンズにRaspberry Pi Zeroのカメラモジュールを近接させ、望遠鏡で拡大した像を撮影するコリメート法(デジスコ)と呼ばれる手法を活用することで、35mm換算焦点距離3,000mmを超える超望遠撮影が可能となった。また、望遠鏡部に学習用天体望遠鏡を用いることで比較的安価で構築でき、最大10日間程度連続した動画撮影が可能である。本発表では複数の天体望遠鏡を用いて解像度や取り回し等の性能評価を実施した結果を紹介する。