| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-220  (Poster presentation)

土壌試料を対象とした植物環境DNA分析【A】【O】
Plant environmental DNA analysis of soil samples【A】【O】

*濵津幸大(東北大学), 石川直子(東北大学), 髙橋大樹(九州大学), 陶山佳久(東北大学)
*Kodai HAMATSU(Tohoku Univ.), Naoko ISHIKAWA(Tohoku Univ.), Daiki TAKAHASHI(Kyusyu Univ.), Yoshihisa SUYAMA(Tohoku Univ.)

環境DNAには、周辺に生息する生物由来の情報が含まれている。土壌堆積物試料には、現在や過去に分布していた生物のDNAが含まれており、それらを分析することで過去の生物分布情報の復元や過去から現在までの動態推定などを行うことが期待できる。しかしながら、こうした試料では、様々な要因でDNAが損傷し、DNAの断片化が進んでいる。また、PCRを阻害する夾雑物の存在や対象分類群以外の生物DNAの混入などにより、対象種の目的配列を十分量取得することが困難であることが多い。近年では、急速に発達している次世代シーケンシング技術を利用することで、こうした試料からも対象種の配列を比較的大量に取得することが可能になってきているものの、効率的な手法は確立されていない。こうした土壌試料を対象とした環境DNA分析の問題点に対し、本研究ではターゲットキャプチャー法に着目し、土壌試料への適用を目指した。ターゲットキャプチャー法は、対象種のゲノム領域の一部を標的配列として、ビオチン結合させた標的配列プローブと磁気ビーズを用いて抽出DNA中の標的配列を選択的に濃縮する方法である。本研究でターゲットキャプチャー法に用いる標的配列プローブは、MIG-seq法でターゲットとするISSR(Inter-Simple Sequence Repeat)領域を対象としてPCR増幅を行い作成した。作成した標的配列プローブを用いて、現生の植物から抽出したDNAと、森林土壌から抽出した環境DNAを対象にターゲットキャプチャー法を行い、対象種の目的配列の検出率や検出精度、データ量などを検討した。さらに、対象の目的配列を取得することがより困難と考えられる縄文時代の古代土壌試料の分析を目指し、技術開発を進めている。


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