| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-01  (Poster presentation)

海洋ゴミと環境DNA解析による静岡県焼津の魚類相の季節変動の推察【A】【O】
An inference of seasonal change of fish diversity in Yaizu, Shizuoka prefecture based on fishing debris and Environmental DNA metabarcoding.【A】【O】

*谷澤陸斗(焼津中央高等学校), 濱田久温(焼津中央高等学校), 藏園陽生(大垣南高等学校)
*RIKUTO YAZAWA(Yaizu-Chuo High School), Kuon HAMADA(Yaizu-Chuo High School), Yo KURAZONO(Ogaki-Minami High School)

近年,地球温暖化に伴い,海水温が上昇している。その影響で,各地の魚類相が大幅に変化しており,特定の地域にいるはずの魚が,他の地域で目撃される事例が数多く報告されている。本研究では,地元焼津市石津浜海岸の魚類相が年間を通してどのような状態かを解析した。また,狙う魚,実際に釣れる魚の種類と時期のアンケート調査と海中清掃で回収するルアーを解析し,釣り人の動向と魚類相変化の相関を考察した。
石津浜海岸にて毎月,水深0mと25mの2地点で潜水によって採水を行い,MiFishを用いた環境DNAメタバーコーディング解析を行った。4〜9月分の採水サンプルより,計76魚種を検出し,水深,月によって魚種に変化が見られた。しかし,検出された魚種は,釣り人の狙う魚や釣った魚,潜水で観察した魚とはあまり一致しなかった。4〜11月のアンケート調査(計317名分)より,釣り人たちは魚類相の変化を感じており,それに伴う動向を変化させていると考えられた。また,4〜11月で計2,333個の釣りゴミを回収し,そのうち,時期が特定できるルアー計730個を7種類に分類した。釣り人の狙う魚と使用するルアーと回収したルアーの分析結果は,概ね一致しており,回収したルアーから釣り人の動向を予測することが可能であると考えられた。さらに,釣り人が使用する100均製のルアーの割合と,回収した100均製ルアーの割合がともに9%を超えることが示された。100均製ルアーは,コロナ禍で釣りを行う人が増加したことと,安価であることも相まってここ数年で急激に普及が進んでいる。さらに,国内最大級の釣り情報を保有するANGLERS(https://anglers.jp/)のビッグデータを用いて(契約を締結),静岡県内の釣り場所(石津浜,三保)の釣果の季節変動を解析し,明示した。


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