| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-05  (Poster presentation)

ナゴヤダルマガエルを守るための最適な飼育方法とは【O】
What are the best practices for raising the endangered species Nagoya Daruma pond frog?【O】

*髙田暢乃華(清心女子高等学校)
*Nonoka TAKATA(Seishin Girls' High School)

岡山県のナゴヤダルマガエル Pelophylax porosus は絶滅の危機に瀕しており、現在個体数を河川開発や圃場整備、土地造成、水質汚染、農作業の変化などにより急激に減らし続けている。個体数を増やすために一般市民が幼生から幼体にかけて一時的に保護する里親活動が行われているが、増加には至っていない。その要因は幼生から幼体にかけての適切な飼育方法が確立してないことだ。また昨年このプロジェクトに参加した際に個体の大量死亡を経験したことから本研究では飼育方法を明確化することを目的とした。
最適な飼育方法を知るため飼育水槽の大きさ、飼育場所の条件で実験を行った。方法は室内、屋外の計4つポイントに大(36.5㎝×21.5㎝)、小(45.0㎝×27.5㎝)の2種類の水槽を用意し、温度ロガーを設置する。水槽にはオーバーフローを用いることで水換えを必要としないため本種にとって負担のかからないようにした。水深は約3cmで各水槽15個体ずつ飼育し、ホウレンソウを一定量与えた。成長の把握のため、ImageJを使用して全長を計測し、前脚の出現日を記録した。結果は、室内外で全長の違い、水槽の大小での全長の違いは見られなかった。前肢の出現は室内よりも屋外の方が早かった。生存率は室内が高く、室外は低くなった。また水槽小は生存率が低く、水槽大の方が高くなった。これより、屋外で水槽が大きく室内での飼育が効果的だと考える。室内飼育では生存率が高いが、幼体変態時期が屋外飼育と比べて遅くなるため、その後の成長に影響が出るのか、現在も飼育を続け変態後の成長率も含めて、よりよい飼育方法の確立を目指している。そして、この結果を踏まえ飼育方法をマニュアル化し、一般家庭での本種にとっての最適な飼育を可能にしたいと考える。


日本生態学会