| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-07 (Poster presentation)
トウキョウサンショウウオ Hynobius tokyoensisは、止水産卵性の小型両棲類であり、特定第二種国内希少野生動植物種や絶滅危惧種に指定されている。神奈川県立横須賀高等学校科学部は、本校敷地内の山に生息する本種の産卵場所が消失しかけている状況を受けて、保全活動を行っている。しかし、活動の中で本種の成体を繁殖期以外発見することができていないため、本種が好む色や臭いが分かれば成体を集めるトラップを作ることが出来るのではないかと思い、今回の研究に至った。嗅覚実験では餌を溶かして脱脂綿に湿らせたものと水を脱脂綿に湿らせたものを用意し、どちらに反応するのかを観察した。色覚実験では明度を揃えた四色の色を等しく配置した水槽に本種を入れ、反応や動きをそれぞれ観察した。その結果、嗅覚実験ではアカムシの方へ向かう個体は少なく、反対方向に向かう個体が多く観察された。また、色覚実験では各個体が特定の色に反応することはなく、偏りなく水槽を移動していた。そのためトウキョウサンショウウオは嗅覚はあまり機能せず、明度の違い程度がわかる色覚をもっているのではないかと考える。