| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-12 (Poster presentation)
私達は本研究を、岡山県内におけるニホンリスの個体数減少を阻止することを最終目的として開始した。岡山県内で特に生息確認の少ない高梁市において、高梁美しい森を調査地とし、3年前からニホンリスの生態調査を行っている。その中で、ニホンリスは小さめのアカマツの球果を選んでいる可能性があると分かり、その理由について調査した。この時の球果と食痕の軸長のデータでT検定を行ったところ、4地点中3地点で有意差が認められた。このような結果が出たのは、リスの球果を貯蔵する際大きい球果は貯蔵しにくく、小さい球果を選んでいるためだという仮説を立てた。
球果の選び方を観察するため、調査地に30mm台から50mm台の球果とセンサーカメラを地上と樹上に設置し、球果サイズと食痕の落ちていた場所・貯蔵場所について調べた。
結果、設置した34個の球果はすべて持ち去られ、そのうち食べられた球果を13個、貯蔵された球果を6個確認できた。食痕はすべて設置地点から2m範囲内でみつかり、貯蔵された球果は5m範囲内に5個と、30m離れた地点で1つ見つかった。食痕はすべて30mm台から40mm台のものであり、50mm台の球果は食べられず、先に運ばれ貯蔵されていた。このことから、地上では大きい球果を優先的に選んでいるが貯蔵し、小さい球果をその場で食べていることが分かった。樹上に設置した球果を食べに来る様子は見られず、調査を実施した11月から1月は地上での採取がメインだと考えた。
今後は、貯蔵した球果を食べにくるのか、いつ食べるのか、センサーカメラでの観察を続けたい。