| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-20 (Poster presentation)
細胞数が40に満たないニハイチュウには滴虫型と蠕虫型の2種類があり、進化によって細胞数を減らしてきたことで注目されている生物である。ニハイチュウを長時間観察をするためには飼育・培養液を調整しなければならないが、まだ詳しい方法が明らかにされていない。マダコの尿のpH=5.81~6.90と幅が広く、滴虫型ニハイチュウが多く生息しているのはpH=5.81~6.24、蠕虫型ニハイチュウが多く生息しているのはpH=5.81~6.00である。マダコの尿がpH=6.90以上のときニハイチュウは確認できない。
共生するマダコの尿に塩酸や水酸化ナトリウムを加えてpH調整尿を作り、その中でニハイチュウの活動を観察すると、滴虫型ニハイチュウはpH=6.40、蠕虫型ニハイチュウはpH=5.40が最も生存率が高い。pH=5.31~6.50の多くの尿中において、滴虫型ニハイチュウは蠕虫型ニハイチュウよりも生存率の低下がゆるやかである。腎嚢中にとどまる蠕虫型ニハイチュウはpHが比較的低い尿中に、海中を泳ぎまわる滴虫型ニハイチュウはpHが比較的高い海水中に適応している。