| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-40  (Poster presentation)

土水路周辺に生息するナゴヤダルマガエルの人為的環境変化による行動の違い【A】
Behavioral differences of Nagoya Daruma Frogs living around dirt waterways due to artificial environmental changes【A】

*佐分利優衣, 富田拓磨, 安達優希, 浅井悠希, 岡田珠里, 戸谷悠人, 松本雄真, 武田誠司(愛知県立佐屋高等学校)
*Yui SABURI, Takuma TOMIDA, Yuuki ADATI, Yuuki ASAI, Syuri OKADA, Yuuto TOTANI, Yuuma MATUMOTO, Seiji TAKEDA(Saya High School)

本校農業科では、約50アールの水田で稲作を行っている。そのうち慣行栽培を行う40アールの水田には中央に土水路が流れ、水生昆虫やドジョウ、そして希少種となってきたナゴヤダルマガエル(Pelophylax porosus brevipodus)も多く生息している。
本研究は、ナゴヤダルマガエルが農作業による環境の人為的攪乱によって、どのような影響が受けるか。特に稲作期に土水路への生活依存が強い本種の生態について調査した。更に稲作後、越冬期の行動調査や二毛作による本種への影響についても調べた。
調査区は40アールの面積中、土水路とその西側20アールの水田を対象とした。
調査時期は令和6年4月から令和6年11月に土水路及び水田内における出現場所を調査した。令和6年2月から3月、12月から令和7年2月に越冬調査をした。令和6年12月から令和7年2月にかけて二毛作による越冬への影響を調べた。土水路及び水田内の本種の調査は、2人一組の踏査・目視により実施した。確認した個体は一部、捕獲し頭胴長を計測した。土水路は畦面へ雑草防止のための植物残渣を設置した実験区も設けて、カエル類を含めた生物への影響も調査した。越冬調査は水田周囲の越冬穴の数、越冬場所の環境条件を調べた。二毛作による影響調査はPITタグ装着の個体を利用して実施した。
結果は、本種が稲作期間中、土水路に強く依存している結果となった。また、土水路畦面に置いた植物残渣の有無により、出現数や他の生物にも影響が見られた。越冬調査では土水路とは反対側の面、雑草や稲わらが残る箇所を中心に多くの越冬穴があった。地上部の環境条件も越冬に影響しているとみられた。二毛作による影響面では、栽培する畝付近の土中で越冬する個体が多く見られた。
今後、調査結果を基に、本種の保全に適した農法の提案を行っていきたい。


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