| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-46  (Poster presentation)

鳥類調査からみる都市公園の鳥類相と多様性【A】
Bird fauna and diversity in urban park through bird research【A】

*佐藤暖哲, 鞠子禅, 石堂歩乃佳, 村松和奏, 千葉美文, 佐藤諒直(東京都立科学技術高校)
*Haruaki SATO, Zen MARIKO, Honoka ISHIDOU, Wakana MURAMATSU, Mifumi CHIBA, Ryoma SATO(Tokyo H. S. of Sci. & Tech.)

江東区にある猿江恩賜公園(以下:猿江公園)は住宅街に囲まれていて、大通りで北部と南部に分断されている。また、北部と南部それぞれに池が点在していて横十間川が隣接している。この公園では2018年〜2019年の冬期3回にかけて行政による江東区緑視率等調査が行われ、その報告書によると18科24種の鳥類が確認された。そこで私たちは3回のみの調査では18科24種だったが年間を通して継続的に調査をすれば鳥類が公園に飛来してくるのではないかと考えた。また、猿江公園の鳥類相から公園の環境と鳥類はどのように関わっているのかを考察した。
調査方法は、放課後の15時〜18時頃、月3回を目安に公園内の鳥類の種数・個体数、環境利用について記録し調査を行った。この調査の結果、2022年4月〜2025年1月にかけて行った調査で27科55種の鳥類を確認することができた。この調査結果は行政が行った調査の報告書を大きく上回るものとなった。確認された鳥類のうち21種が東京都レッドリスト(区部)に記載されている絶滅危惧種であった。また、公園内の北部と南部で種数を比較すると、北部では39種となり南部では45種となった。この差がみられた考察として公園内の樹林、水辺・池の環境の違いに着目した。公園内で樹林地を比べると北部はメタセコイアの林など高木かつ単種類の樹木に比べ、南部は多様な種類で高低差のある樹木が生えている。これにより、鳥類が隠れるのに適した環境になっているためだと考える。また池や水辺の環境については北部では水深の深く周りが鋪装されているが南部の池は水深が浅く自然な状態に近い。よって、水深の浅い場所があることで小型サギ類やカワセミにとって採餌のしやすい環境になっているためだと考えた。樹林地や池をはじめとした多様な環境を維持し、自然度の高い環境を作り出すことが課題である。


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