| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-47 (Poster presentation)
食べられて死んでいるクワガタが、電灯の下にたくさん落ちているのを、何度も見つけた。人間が作った電灯の光にクワガタが集まり、そのまま逃げ遅れて、鳥などに食べられていると思った。クワガタが隠れられる家を作って、クワガタを守りたいと考え、小学校1年生からこの研究を始めた。
まずはコクワガタで実験した。初めに、自然界に無いプラスチックなどよりも本物の木でできた家を好むと仮説を立てた。次に、クヌギやコナラの木にクワガタがいると本によく書かれているので、クヌギの家とコナラの家を好むと仮説を立てた。それから、ノコギリで切り落としかけた丸太の切れ目に、飼育中のコクワガタがよく隠れていたので、狭い隙間を好むと仮説をたてた。最後に、木の皮やウロの隙間によく隠れているので本物の木と同じ角度で家を置けば良いと仮説を立てた。またヒラタクワガタはコクワガタと同じシイを、ノコギリクワガタは今度こそクヌギかコナラでできた家を好むと仮説を立てた。
その結果、コクワガタが好むのは、シイで作った隙間10mmの家で、家自体の向きは関係なく、隙間が縦向きになるように置くとよく隠れるかもしれないと分かった。また、僕の実験結果からだけだが、輪切り型の家だと雌は67%隠れ、雄は83%も隠れていた。さらに雄は丸太型の家になると93%も隠れることが分かった。ヒラタクワガタやノコギリクワガタの予備試験から、クワガタの種類や性別によって好む家が違うかもしれないことも分かった。
このように、仮説とは違うシイをコクワガタが選んだだけでなく、雄と雌で違う結果が出るなど面白いことが分かった。オスとメスのアゴの大きさの違いや、クワガタの種類や性別によって好きな家が違うのが仮説通りにならなかった理由だと思った。