| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-49 (Poster presentation)
突然変異と言われているピンク色のバッタ(以下「ピンクバッタ」とする)を4年前に見つけてから、毎年ピンクバッタの研究をしている。2022年にピンクバッタは捕食者に狙われにくいと分かったが、狙われにくいのにもかかわらず、ほとんど見つからないことが不思議になった。そこで、カマキリの特性から解明を試みた。
犠牲になるバッタを最小限にするために、割り箸で偽物のバッタを作ったり、バッタの代わりに鶏肉やイカを食べさせたり、カマキリに食べられないように透明容器にバッタを入れて保護したりしながら、カマキリの特性を調べた。また、カマキリに赤色または緑色を記憶させ、Y字迷路を使ってカマキリの学習能力について調べた。色の見え方を統一するために、色紙ではなく同じ厚さのセロファンと、同じ規格の虫かごを使用した。
実験の結果、カマキリはピンクバッタをあまり食べたがらないかもしれないこと、そして鳥類と同じように、カマキリも食べ慣れた餌と同じ色の餌を好む特性があるかもしれないことが分かった。また、カマキリが色を区別でき、色を記憶できるようだと分かった。
これらのことから、カマキリが食べ慣れないようにピンク色のバッタの量を少なく保ち、カマキリに普通の色のバッタの方がおいしいと思わせることで、ピンク色のバッタは狙われにくくしていると考えた。極端な議論になるが、生き残り易いバッタがいることで、バッタだけでなくバッタの捕食者であるカマキリも絶滅を回避できるのかもしれない。